伝統的な金物の街 燕三条で創業100年超えたマルト長谷川工作所様100年続く伝統に、3Dプリンターはどう活きるのか

株式会社マルト長谷川工作所様(以下、マルト長谷川工作所)は、1924年に創業。鍛冶の街として栄えた新潟県三条市に本社を構える金属製品の製造と販売をしている会社です。大工道具から始まり、ペンチやニッパーなどの手工具ブランド「KEIBA」は、今や「Sanjo Japanブランド」として世界30か国で愛されています。また、ニッパーの技術を活かし、ニッパー型の爪切りの製造を開始。そこから理美容用品の新ブランド「MARUTO」を設立ました。
「切る」にこだわった一貫生産による高い品質と機能美が詰まった魅力的な製品を提供しています。
尚、KEIBAというブランド名は、競走馬の雄姿に魅せられた初代社長が創業当時からトレードマークとして使用しています。
今回は研究開発部の長谷川氏、中村氏、吉井氏にお話しを伺いました。

100年の伝統を守る創意工夫:こだわりの一貫生産体制

もともと大工工具から始まりましたが、時代の流れやニーズ、業界によって技術もお客様も変わってくるので、それに合わせて今までの技術を応用してどんどん事業展開していきました。なんとか100年、変化しながら続いていると思っています。もちろんその根底には、「ものづくり」という変わらない思想や理念を持ち続けています。
マルト長谷川工作所では、基本的に一貫生産制を貫いてきました。

この三条市はもともと鍛冶屋さんの地域で、伝統鍛冶は鍛造から刃付けから全部やってしまいますよね。その延長で企業になっていったような文化であり土地柄です。それと同じで、私たちはデザインや設計、製造、検査、パッケージ、出荷までの全部の工程をここで行っています。
今、新たに起業してこの設備環境を整えるのは難しいと思います。自社のブランドを持っていて、かつ、この一貫生産体制があることが弊社の一番の強みですね。

手工具ブランド「KEIBA」手工具ブランド「KEIBA」

デザインのこだわりから生まれた3Dプリンターの活用

三条市は「Sanjo Japan ブランド」として、地域でデザインに取り組んでいる一面があります。
マルト長谷川工作所では1960年台には有名デザイナーを招致しノウハウを学び、1980年台にはグッドデザイン賞を頂きました。初受賞からこれまでに57点を受賞しています。とても喜ばしいことなんですが、デザインが多くなってくると、開発のバリエーションが増え、開発サイクルも短くなる。そうなると、とてもじゃないですが金属加工での試作では間に合いません。そこで登場するのが3Dプリンターです。

金属製品をたくさんバリエーション作ろうとすると、削ったり、熱処理を変えるなどいろんな要素が入ってきて3週間とかかけてたんですよね。これが数時間でバリエーションが作れる。相当早くなりました。
アンケートを取ると、意外にもユーザー様は刃先だけではなく、グリップ、握りごごちを気にしているんですよね。試作をたくさん作って、展示会でお客様に実際に握ってもらったり、職人さんにも触ってもらったり、見てもらうことによって良いコミュニケーションも発生するようになりました。

自社工場

Phrozen社3Dプリンターを使ってみた正直な感想

使用しているのはSonic Mini 8K Sです。5万円のプリンターだから、と、正直そこまで期待をしていなかったのですが、それが非常に良い精度で造形ができるので本当にびっくりしました。びっくり革命です(笑)
あまり褒めすぎるのは良くないかもですが、例えばこの型っぽい造形物は、上下の組み合わせがばっちりです。穴と軸の寸法差もありません。そしてはめていくと、ちょっときついかなという感じで入っていく。これがすごく良い精度だと感じています。スピードもそれなりに早く感じました。思ってた以上です。あ、でも、洗浄不足でペタペタしてしまうのはちょっとやだなぁって所ですね(笑)
あと、別メーカーの光造形を使用してたので、レジンの設定はソフト上で必要なかったのですが、Phrozen社プリンターのソフトは設定しなければいけない面倒はありました。でも、先程お話しした通り、造形開始までの余熱時間とかがないので、スピードが速いのは本当に良かったです。

Sonic Mini 8K S

燕三条と3Dプリンター

三条市は金属加工の街で、お隣の燕市は洋食器の街です。伝統産業ではありますが、造形品を見せるだけで情報共有できたり引き継ぎできたりしやすくなるんじゃないかと思います。
そういう意味でも手に持つ道具である手工具や食器は、3Dプリンターと親和性が非常に高いと思います。

創業100周年